輸送業界の標準に
■状況■ | |
素材の進化は日進月歩で、自動車業界は車の設 計の際、軽量化のためにより軽い素材を取り入 れています。 米国のExatec LLC 社は自動車や運輸機械向け に、ポリカーボネートをガラス化するソリュー ション開発の為に1998年に設立されました。 |
|
■分析■ | |
窓または各種カバーとして使用される透明材料はふき取りや洗浄にさらされます。このため、その素材 あるいはコーティングが摩耗に対する耐性をどの程度有しているかを知ることは重要です。 この特性を評価するための自動車業界標準が「TABER試験」であり、透明なプラスチックの場合の規 定は、ASTM D1044(透明なプラスチック材の摩耗耐性に関する標準試験方法)です。 ガラスや他のガラス化素材(たとえばプラズマコーティングされたプラスチック)がこの規定を満たし ていることを保証するため、自動車業界はANSI/SAE Z26.1(ガラスを使った自動車および自動車機 器の安全なガラス材料)を参考にしています。 特許化されたポリカーボネートのコーティングシステム(プラズマCVD)を用いて、Exatec社は、雨風 に強く、持続性のある、ガラスのような摩耗耐性を持つポリカーボネート製品を提案しました。Exatec 社の素材が自動車に使われるために、同社は自動車業界から求められた厳しい摩耗耐性を満たす必要が ありました。 そこでTABER社のロータリー試験機(バキュームを11mmに改造)で、CS-10F摩耗輪によって標本を 擦傷にさらしました。また、透明な素材の光学性能を正確に測定するため、試験前と試験後に標本を 通過した光量をヘイズメーターで測定しました。 試験前のヘイズ値と試験後のヘイズ値を記録されていて、その差はΔヘイズ値を決めるために計算され、 摩擦による光拡散の象徴とされています。 |
|
■有益性■ | |
2005年10月 アメリカ合衆国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)はExatec社の公式な要請を受け て、規定の製品テストを通過できるのであれば、Exatec E900 Polycarbonate Glazing Systemが自動 車用のガラス製品として使われることを承認しました。 自動車メーカーは、自由な形状と軽さを持つ、ガラスの代わりとなるこの素材に興味を抱き、ポリカー ボネートをサイドウィンドウやリアウィンドウだけでなくサンルーフにも取り入れようと準備をしてい ました。Exatec E900は運転手の視界用製品に要求される摩耗耐性を有する、唯一の透明なガラス化 素材です。 表面が摩耗または擦傷しないことが重要である透明な材料は、多くの場所で使用されています。例と しては、バイザー、操作パネル、窓、バスの待合所、 機械のガード、自動車の表示器、ヘッドランプ、 オートバイの風防シールド等が挙げられます。 テーバーのテストは、摩耗耐性が必要な素材選びを行う上で、設計エンジニアを安心させています。 |
紙専用に開発されたCS-10P
■状況■ | |
50年以上にわたり、紙・板紙の製造業者は、耐
摩耗性の特性を測定するためにTappi T476の試験方法 に従ってきています。この試験ではロータリー摩耗試験機を利用し、紙繊維の損失量を計測するため、 乾燥または湿潤での摩耗試験を行います。この試験は、許容可能な紙の組成を保証するための試験の一つ で、コピー処理中に複写機で発生する可能性のある繊維脱離の量を評価するための手段として用いられて きました。 | |
2002年の後半にTABERはCS-10の改良版摩耗 輪をリリースしましたが、製紙業界では予期し ない問題に陥りました。 改良された摩耗輪は保存寿命が長くなり、より 高い再現性と一貫性を実現、さらに色移りが少 なくなりました。 TABERはこれまでの性能に合致するように努め ましたが、使用した製紙メーカーは従来品との 相違点に言及しました。改良CS-10でのテスト では、摩耗試験によって減少した標本の重量は 予想の30%にとどまり、まるで紙のつや出しの ようだ、と報告したのです。 |
|
■分析■ | |
TABERの予備データの徹底的な見直しでは性能相違の原因を明らかにすることができませんでしたが、 相違を訴えた各社への聞き取り調査の結果、根本的な原因があきらかになりました。 標準要綱として、TABERは各テスト前に摩耗輪のリフェーシングすることを推奨しております。 このステップの目的は、摩耗輪の表面に付着した破片やごみなどを除去して試験前に摩耗輪表面を標準 化することにあります。TABERの検証データは、摩耗輪の各試験前にリフェーシングすることに基づい たものでした。しかしTappi T476では、填料(フィラー)を含む、あるいはコーティングしている繊維 の表面の場合、テスト後または1000回転のテストを行った後に離フェーシングを行うことが推奨されて いました。想定結果との相違を報告していた全ての製紙メーカーは、期間中に100回テストを行いまし たが、10回テストする毎に一度テスト後のリフェーシングを行っているだけでした。 その後の綿密な調査で、テスト中に発生した紙粉が摩耗輪表面外周に付着する傾向があることを確認し ました。10回のテストのうち、2回目までは変化これまでと同じでしたが、3回目以降は摩耗輪の表面が 劇的に変化し、その結果、標本の重量減少の度合は低下しました。 この問題の簡単な解決策としてはテストを行う度に摩耗輪をリフェーシングすることですが、ユーザー のテスト要綱を変更することで、費用と時間を増やしてしまうことを認められることから、TABERは 特注摩耗輪の研究に着手しました。 |
|
■有益性■ | |
Tappi T476では関係者にテストしたい摩耗輪を選択することが認められています。このことは紙業界向 けに業界が望んだ付着する紙粉に左右されない摩耗特性を持った摩耗輪の開発を後押ししました。 こうしてCS-10Pは開発され、製紙業界による性能確認を経て、CS-10のに代わる新たな摩耗輪として リリースされました。製紙用に特化して開発されたCS-10Pは相応のテスト結果を示し、テスト毎に リフェーシングすることなく連続した100回のテストを10回行うことができるようになりました。 |
スプレー塗装された荷台のテスト
販売元のウェブサイト(http://line-x.jp/)によると、LINE-X®は、「トラックの荷台の保護の業界リーダー」です。
同社は、スプレー式の商業、工業、農業、軍事、カスタムアプリケーションで利用される保護コーティングを提供しています。 これらの特別に調合のポリマーは、恒久的に摩耗&涙から付加的な保護を提供するために、材料に結合します。 |
有機コーティング(ASTM D4060)
■状況■ | |
大多数の業務用・産業用アプリケーションにおける有機コーティングは、主に表面を保護したり美化するために使用され、一般的にはワニスやステイン、工業用塗料などが使われています。 多くの企業には、コーティング性能よりも最終製品の外観を重視する傾向がしばしば見られます。どの色を採用するのか、どこにロゴを入れるのか、といった問題は、塗装の耐摩耗性よりも頻繁に議論されていますが、これでは致命的なミスを犯しかねません。コーティングは製品の見栄えを良くするだけでなく、腐食、 摩耗、傷などの表面損傷から製品を保護しているのです。 |
|
■分析■ | |
TABER摩耗試験機による有機皮膜の耐摩耗性のためのASTM D4060標準試験法は、コーティングの耐摩 耗性を評価するための最も一般的な試験の一つです。TABER試験は、平らで硬い製品の表面のコーティ ングに適用されます。 標本はTABERロータリー摩耗試験機のターンテーブルに装着され、荷重をかけられたCS-10または C-17などの摩耗輪の下で一定速度で回転させ摩擦負荷をかけます。テスト中に生成された埃や塵は、 バキュームシステムで除去します。各試験の前あるいは500サイクル毎に、S-11リフェーシングディス クでリフェーシングを行い、摩耗輪の表面を標準化しておきます。 試験終了後の耐摩耗性評価における指標は以下の通りになります。 ●指定された負荷(500gまたは1000g)で所定の回転数(通常は1000回転)を実施した際の重量損失 ●1mil(0.0254mm)のコーティング厚を摩耗させるために必要な回転数 ●コーティングが剥離または下地が露出した回転数 しかし、テストは見かけほど単純ではありません。 摩耗試験機が校正されていたとしても、テスト結果 が変化する要因がいくつも報告されています。 ●試験片のタイプ(本来は平らで硬い面に塗装された状態でテスト) ●試験片の表面状態 ●試験フィルムの製法(噴霧・浸漬・フィルムアプリケーター) ●コーティングの乾燥時間 また、4インチ(約100o)の試験片のテストが適さない場合、多くのユーザーはTABERリニア試験機に 切り替えています。世界的に有名なTABER摩耗輪に見られる研磨材を使って、立体的な製品のテストも 可能になり、製品のコーティングの強度を測定する新たな方法を提供しています。ASTMによる方法論は まだ確立していませんが、多くの企業はリニア試験機を用いたコーティング性能評価の十分な方法を 見つけつつあります。 |
|
■有益性■ | |
ほとんどの消費者は、その商品のの持つ本来の品質水準が、価格に直接関わると考えています。 製品が壊れたり擦り切れたりする前に、いかに強固に仕上げることが、品質を理解してもらう上で、 本質的な要素になります。今日の競争社会の中では、生き残るためにコストを削る顕著な努力をして います。その努力には、サプライヤーを変えたり、異なる仕上がりを指示したりすることを伴うかも しれません。不幸にも、これらの変化には製品の性能にいかなる影響があるのか、十分な考慮が不足 する場合があります。 有意義なテストプログラムは製品の品質を保証するのに必要なステップで、明示したコーティングが 企業とその顧客の期待に合致することを証明するためにも、このステップは欠かせません。 |
透明な材質 〜リニア・マーテスト〜
■状況■ | |
歴史的にテーバー摩耗試験機は、透明な材料に磨耗や傷の損傷を評価するために利用されてきました。 試験方法ASTM D1044記載の手順に従って、100mmの正方形の標本を回転させ、規定の重量負荷と 摩耗にさらします。標本はターンテーブルに載せられ、水平に回転し、2つの摩耗輪で擦られます。 摩耗耐性はヘイズメータを用いて、ヘイズ値の変化を測定することで評価してきました。 しかし、ガラスやプラスチック製品が一般的になったにも関わらず、ロータリー摩耗試験機では成形 された製品や100mm以下の標本でテストすることができませんでした。 従って、携帯端末や眼鏡などの最終製品のために、新たな試験方法の確立が必要になりました。そこで 1999年に、テーバー社はこのニーズを満たすためにリニア摩耗試験機を提案しました。 |
|
■分析■ | |
TABERの予備データの徹底的な見直しでは性能相違の原因を明らかにすることができませんでしたが、 過去10年以上にわたり、TABER社には透明な材料を使用した製品のさまざまな摩耗試験の実施のため、 多くのお客様からの要望がありました。ASTM D1044の基準をベースにして改良されたアプローチに より、異種様々な材質やコーティングでの試験において結果を出すことを約束し続けてきました。 例えば、Tスロットユニバーサルテーブルを取り付けたリニア試験機MODEL5750で、CS-10F研磨材 やASTM12397消しゴムを使った眼鏡用のテストは有効に使われています。一般的には全ての標本が、 まずは視覚的に調べられるので、オペレーターが与えられる傷やダメージの耐性を確認することが できます。 このテストの手順を記します。 1.実験室内に24時間サンプルを保管し、環境に慣らす 2.標本の両面を糸くずの出ない布とイソプロパノールアルコールを使用して清掃 3.ヘイズメーターを使用して初期ヘイズ値を測定・記録 4.試料ホルダーに標本を固定し、研磨スティックと一緒に並べるテストエリアを確保 5.ST-11を使って5サイクルのリフェーシング 6.20サイクルのテスト開始 7.標本を外し、2.と同様に清掃 8.ヘイズメーターを使用して終了時のヘイズ値を測定・記録 9.終了時のヘイズ値から初期ヘイズ値を引いて、摩擦によるヘイズ値の変化を記録 ヘイズの変化をの代わりに、オペレータは、目視検査の結果を活用することもあります。各標本は、 一定の倍率(例えば5倍拡大鏡など)の下で検査し評価されます。 |
|
■有益性■ | |
サンプルのサイズが原因で、今までのアプローチでは対応できない場合、代わりの解決方法は既に用意されています。 ロータリー試験機とリニア試験機での試験結果が同等だと証明するだけの相関性はないにも拘わらず、 上記の標準化した手順で得られた試験結果は、デザイン決定の助けやモニタ部分の品質維持、あるいは原材料の評価を行う上で、 有益な情報として使えることを証明しています。 |
ロータリー試験機に裏付けられた床材の品質
■状況■ | |
メンテナンスの手軽さや製品耐久性に加え、 デザインの自由度も相まって、過去15年以 上にわたり、ラミネートフローリング床の 人気は著しく高まっています。 しかし、平均的な消費者にとって様々なレ ベルに区別されたラミネート床に注目し、 それぞれの品質水準を理解することは容 易ではありません。 25年や30年などの長期保証が決まり文句に なっている場合は尚更です。 |
|
■分析■ | |
ラミネート床材の登場は、その装飾、実際には高解像度の画像が要因となっています。製品に耐久性を 与えるために、ほとんどのラミネート床材の装飾層は、摩耗耐性に優れた素材であるメラミン樹脂で作 られています。 ラミネートフローリングは耐久性に非常に優れていますが、過度の往来や他の手段による損傷で、 この装飾層に損傷が発生する場合があります。ラミネート床で有力なメーカーは、製品の物理的特性を 評価するための種々の手順が説明された 国際的に了承された試験規格を支持しています。 各メーカーは、通常の摩擦や断裂に対して、製品がどれだけ耐性を持っているかを評価するため、 TABERロータリー摩耗試験機を使用しています。TABER試験機でのテストでは、装飾層に摩擦を与え、 最初にダメージを受けるまでの回転数を測定します。このテストでは、何年もかけて行う評価を、とても 短い時間に圧縮することができます。また床に関する評価尺度を利用することで、ラミネート床材製造 者は、製品がどのクラスの水準を満たすのか、どの市場に拡販すれば良いのかを決定することができ ます。TABER試験に耐えた回数が増えればその分耐久性も上がります。 よく参照されるACレイティングを例に挙げます。 ●AC1 Moderate Residential:往来が少なく光があまりあたらない(寝室など) ●AC2 General Residential:住宅スペースのほとんど。中程度の往来(リビングやダイニング) ●AC3 Heavy Residential/Moderate Commercial:往来頻度が高く、光が当たる(小規模オフィス) ●AC4 General Commercial:すべての住宅用途のほかに商業エリア(オフィス、レストランなど) ●AC5 Heavy Commercial:往来の激しいスペース(デパートや公共の建物) |
|
■有益性■ | |
ラミネートフローリングがどれだけ長持ちするかは、製品の選択、往来の多さ、製品のケアに依ります。 TABERテストのような要件を元にすれば、消費者はラミネート床材が長年の使用に耐えると確信する ことができます。 |
革張りの室内装飾品
■状況■ | |
歴史的に、皮革の耐摩耗性の評価試験は、ASTM D3884の派生で、1000gの負荷でCS-10摩耗輪で 1,000回転摩耗する方法に基づいていましたが、ASTM D3884は元々繊維のための規定で、CS-10摩耗 輪の改良版がリリースされると困難が生じました。 | |
TABERテストの間、標本は左右の摩耗輪による制御された負荷と摩耗アクションで摩擦を受けます。 摩耗輪が試料表面を研磨する際に生じる破片は真空システムにて吸引除去されます。多くの皮革は、摩耗すると破片は除去されずに摩耗輪表面に付着するような保護用トップコートを用いて製造されていますが、 リリースされた改良版CS-10では、この破片は摩耗輪にあまり付着しなくなり、 多くの皮革製品のテストにおいてテストサイクルの著しい低下(そしてそれは摩擦性能も)を引き起こしました。 |
|
革製品の企業が抱く懸念事項に対する努力の中で、TABERは試験手順の中に具体的な欠落があることを 認め、革製品に関する新しい試験方法を開発する機会としてこれを認識しました。 |
|
■分析■ | |
出発点として、Taberは革製作者とユーザーからの情報提供を求めました。新しい手順の開発において 十分な関心事があったことを確認した後、ASTMのレザー用D31委員会にアプローチしてプロセスを支援 しました。その後、Taberは現在の方法を見直して、あいまいな点を特定しました。 革は天然製品であるため、最初の観察したのは、試験サンプルの獣皮が、採取された部位によって物理的 性質が異なることがあることでした。残念ながら、サンプルを準備する段階で性質の違いを最小にする 方法に関する指導はありませんでした。 試験手順に関しては、バキュームの力や高さに関する情報がほとんど記述されていませんでした。過去の 経験から、バキュームノズルの高さが標本に対して高すぎると、破片が適切に除去されないことは分かっ ていました。逆に、バキュームノズルが近すぎると、十分な空気の対流が確保されず、モータが過熱状態 に陥る可能性があります。しかし、もっと重要なのは、吸引力があまりにも集中して、研磨された粒子や 研磨剤の破片を部分的にしか吸い上げることができないことです。更には、吸引中に試験中に標本が持ち 上げられて、バキュームノズルとの接触が生じ、さらなる摩耗を引き起こすことです。 もう一つ確認されたあいまいな点は標本の固定方法です。クランププレートと標本固定用ナットだけで十 分なのか、それとも標本固定用リングも使うべきなのか、はっきりしていませんでした。生地メーカーで は糸切れを確認する妨げになるのでマウンティングカードを使っていませんでしたが、皮革メーカーでは その懸念はなく、マウンティングカードがとても便利な点が多くありました。 あいまいな点の中で最も大きいのは、終了点の決定に集約されていました。生地の場合、破断時の残留 量、破断時の損失割合、特定の破断時のサイクルのいずれかで決定されるとASTM D3884で規定されて います。皮革の場合の慣例では、最小限の回数でテストするか、テストに失敗してしまうかでした。失 敗とはどのような事なのか、正確な定義はほとんどありませんでした。機器のオペレータが主観的な評価 を行うと標本の状態に関して様々な異なった判断が生じます。経験豊富なオペレータであれば、それほど 関係するような事ではないかもしれませんが、 異なる環境下での再現性の問題は確かに浮上しました。 |
|
■有益性■ | |
2006年にASTM D7255で、皮革製品に関するダブルヘッドのロータリー摩耗試験機を用いた耐摩耗性の 標準試験方法が発表されました。この方法は、上記の各欠点に対処し、皮革製品におけるTABER試験の 信頼性を向上させました。多くの自動車OEMメーカーは引き続き独自の手順を使用していますが、 ASTM D3884からASTM D7255への照会を最新のものにすることで、意図されたテスト手順が明確にな り、テスト設定の際に採用されていた多くの独自な方法が削減されるでしょう。 |
テーバーは摩耗試験の結果を検証するための独立した実験室として行動する
■状況■ | |
ダイヤモンド・イノベーションズ社は、製造されたダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素(CBN)、多結晶物質を活用する
製品や装置を開発する顧客に直接貢献しています。
彼らのビジネスの1つは、複合ダイヤモンドコーティング(CDC)を用いて金属または合金を強化することです。
製造業者によれば、このコーティングを適用することにより、摩耗部品および摩耗システムの表面にダイヤモンド特有の特性がもたらされます。
このように、多くの顧客は、部品のベース材料を安く、軽く、製造しやすくすることで、コスト削減を実現できます。
ダイヤモンド・イノベーションズ社はTABERロータリー摩耗試験機を使用しています。
同社は標本を同じ試験方法で評価することにより、様々な製品オプションを直接比較することができるウェアインデックス(摩耗指標)を確立しています。 |
|
■分析■ |
TABERはダイヤモンド・イノベーションズ社と連携し、特定の材料について独自の摩耗試験を実施しま した。この試験の目的は、ダイヤモンド・イノベーションズ社によって生成されたデータを検証し、そ の結果が再現可能であることを確認することでした。 同社のテスト手順を徹底的に見直した後、TABER のラボ担当者が確認試験を実施し、画像プレゼンテーションを含む詳細な解析結果を提供しました。 |
■有益性■ | |
ダイヤモンド・イノベーションズ社のマーケティング部門および販売部門は、TABERのウェアインデッ クス(摩耗指標)を利用しながら代表例としての工具材料のオプションを通じ、複合材ダイヤモンド コーティングが提供する価値を広めています。 |
革製品の摩耗耐性を定量化
■状況■ | |
安全用品の全国的な小売業者であるMCR Safety社は、いくつかの種類の革製安全手袋 に関する性能情報を求めてしていました。 意図した用途用の手袋を販売するためにテス ト結果を使用したいと考えており、耐摩耗性 能を知るために、彼らはTaberに目を向けま した。 |
|
■分析■ | |
安全手袋は通常、牛、豚、山羊の3種類の皮 革で作られています。各タイプの革はそれぞ れ利点を持ち、耐摩耗性が考慮されているの で、この性能を定量化することで様々な手袋 がどのように販売されるのか確認できます。 |
|
試験を実施するために選択された装置は、TABERのロータリー摩耗試験機で、ASTM D7255の「革の耐 摩耗性のための標準試験方法(ダブルヘッドのロータリー摩耗試験機用)」に基づく手順があります。 このASTM試験の結果は、一般的に、仕上げ面を破壊するのに必要なサイクル数か、または固定サイクル 数の後に行う標本表面外観の判断です。革の耐久性の比較値を得るためにTABERの行ったアプローチは 穴が貫通するまで各標本を試験することでした。各手袋を縫い目で開き、S-36-1円形の標本カードを各 手袋の手のひらの内側に取り付けました。試料をはさみで切断し、直径4インチの標本としました。 視覚効果があり軽量ですので、 異なる素材の性能をランク付けしたり、どの素材が最も耐性があるかを 見せるのに、この標本は適していました。 |
|
■有益性■ | |
MCR Safetyによれば、レザーグローブは産業労働者の手に、快適性と耐久性、器用さを提供し、優れた 保護を施します。顧客は今や、安全手袋に使用されている革の種類を区別する術を知っていますし、 高価な革と安価な革を見分ける能力を持っています。 |
TABERテストプログラムによるリニア摩耗試験機の利点の実証
■状況■ | ||
衣服アイロンの製造業者は、シャツ、ズボン、ジャケットのジッパーやボタンに対して鉄の表面を傷つけ ることを懸念していました。彼らはTaberの正規ディストリビューターであるNeurtek Instruments社 にアプローチし、テストに関する助言を求めました。 |
||
■分析■ | ||
Neurtek Instruments社はリニア摩耗試験機の使用を 提案しましたが、どのテスト用アクセサリが適切かは不 確かでした。Neurtek社は、顧客の代わりに3つの標本 をTABERテストプログラムに提出し、TABERの評価と アドバイスを依頼しました。TABERはさまざまなテス ト付属品の機能を実証し、テスト手法の潜在的な可能性 に関する専門的な見解を提供しました。 ボタンにはさまざまなサイズと材質が用意されているこ とを踏まえて、TABERは鋭角な金具か丸みを帯びた縁 のいずれかで損傷が起こる可能性があることを理解して いました。マルチマーアタッチメントは、丸いボタンを シミュレートするためのループスタイラスと、鋭角な金 具用の銅製コインの、2つのスタンダードなアタッチメ ントのいずれかを選択することができます。 |
||
顧客にとって有用である可能性のあるソリューションとして追加のアタッチメントも提案されました。 これには、洗濯の際の擦り洗いによる鉄の損傷をシミュレートするScotchBrite®摩耗パッドキットや、 金属表面のコーティングの摩耗耐性を測定するTABER研磨材などがあります。 |
||
■有益性■ | ||
顧客は、テストされたサンプルと各アクセサリの長所と短所を分 析した詳細な要約レポートを受け取って感心しました。 典型的な損傷の疑似的シミュレーションに時間を割いて、 Neurtek Instruments社の顧客の懸念に特化した適格なソリュ ーションを提示することができたのです。 |
金属表面処理の定量化を助ける摩耗の深さ測定
■状況■ | |
例えば警察車両のような極端な運転条件にさらされた車両は、ブレーキやローターを頻繁に交換する必要 があります。従って、ブレーキロータの寿命を延ばすことは、メンテナンスの費用と修理のために車両 が使えない時間に大きな影響を及ぼすでしょう。残念なことに、テスト装置や実際の使用状況で寿命の 研究を実行するための費用は非常に高くなる可能性があります。 自動車用ブレーキロータのサプライヤ であるPrecision Fleet Brakes社(現在はFleet Physics社)は、 さまざまな熱処理による摩耗性能の違 いを分析しようとしていたときにこのことに気づきました。そこで彼らはそれぞれの熱処理の方法に よって実行可能なオプションを特定するのに役立つ、費用対効果の高いR&Dソリューションを模索する ためにTaberにアプローチしました。 |
|
■分析■ | |
Precision Fleet Brakes社の目的は、ブレーキロータの表面にある程度の摩耗を引き起こすことのできる 使いやすいテスト機器を特定することでした。テーバーが最初に推奨した案は、ブレーキロータと同じ 材料からテスト板を作成し、ロータリー摩耗試験機でテストできるよう、様々な熱処理のテスト板を製 作し、ロータリー摩耗試験機で評価できるようにすることでした。しかしこの手法は実用的ではなく、 またロータから標本を切り出すこともありませんでした。サンプルの準備に伴うコストを回避し、サン プルの切断による材料特性の変化を防ぐために、顧客は実際のブレーキローターをテストできるような 装置を必要としていました。 |
|
その汎用性のためのソリューションはTABERリニア摩耗試験機でした。TABER研磨材を使用して予備の試験を実施し、まずはどの研磨材が最も適切かを確認しました。最初のテストではH-18とH-22の研磨材を試しましたが、両方とも摩耗量が多くなく、速い速度で往復してしまいました。
そこで、ロータリー試験の経験を活かして、H-10研磨材が選ばれました。
この選択肢は成功であったことが証明され、追加のテストでTaberは顧客にとって理想的なテスト設定を特定しました。
減量は測定するのには十分ではありませんが、このアプローチでは、摩耗の深さ(この例の代表値は、0.005"〜0.010"でした)
または高解像度の画像によって定量化できます。 |
|
■有益性■ | |
リニア摩耗試験機を使用することによって、生成されたデータからPrecision Fleet Brakesはさまざまな 熱処理のブレーキローターを直接比較することができました。 この低コストの試験手法は、異なる処 理による性能をランク付けし、今後の研究の際に最も有望な選択肢を特定するのに十分な情報を提供しま した。 |
義足の被覆材料選択に使用される摩耗基準の研究
■状況■ | |
ゲル技術の世界的リーダーであるSilipos®社は、義足などの補綴に使用されるミネラルオイル・ゲル・ ライナー・システムのDuraGel™用に、より耐久性のあるカバーの材料を選択する方法を求めていまし た。SiliposのR&Dチームが補綴コンサルタントと共同開発したナイロン複合布カバーは、着用者に最 適な可動範囲、可動性、適用の容易さ、皮膚衛生を提供しながら、末端が伸びるのを最小限に抑えるよう に設計されました。しかしながらこのゲル自体が長く使われるとの指摘を受け、専門的な意見を求めて TABERに目を向けました。 |
|
■分析■ | |
予備試験で評価サンプルに形成された摩耗痕が、実際の現場の同じ製品に見られる典型的なものであるこ とを示し、TABERロータリー摩耗試験機は、この用途に最も適した装置であると判断されました。 |
|
ロータリー摩耗試験機の特徴的な擦り摩耗作用は、駆動される2つの摩耗輪による回転によって
標本と接した際に回転とは反対方向に発生します。この作用は、一般的にはひざ下のライナー端面に起因していると考えられる、
摩擦や衝撃、せん断力によって引き起こされる摩耗損傷を模擬するのに役立ちました。 候補となった様々な素材についての試験を行い、ASTM D3884に従って外観損傷の分析を実施しました。 それぞれのサンプルは、ライナー材料の初期摩耗を行った回数によって、性能的にランクを付けられました。 顧客は、材料を試験するためにロータリー摩耗試験機を使用し、ASTM D3884に基づく手順に従っていました。 耐摩耗性は、特定数の摩耗サイクルの後、試験試料の目視検査により評価しました。 |
|
■有益性■ | |
ロータリー摩耗試験機を使用することにより、Silipos®社は、DuraGel™の最適なカバー生地を選択する ことができて、全体的な製品性能を向上させ、顧客満足度を高め、苦情や賠償請求を減らすことができ ました。 |
テスト手順をカスタマイズすることでより意味のあるデータが明らかに
■状況■ | |
不織布材料の大手メーカーは、品質承認基準の一部として磨耗試験を必要とします。国際的に認知され た試験方法にもかかわらず、彼らは一貫した磨耗試験結果を得ることが困難であり、専門的な意見を求め てTABERにコンタクトしました。 |
|
■分析■ | |
顧客は素材をテストするために、ロータリー摩耗試験機を使用し、ASTM D3884に基づく手順に従っていました。
耐摩耗性は、特定数の摩耗試験サイクルの後に試験試料の目視検査により評価していました。 当初、試験結果にばらつきが生じるのは、評価技術によって引き起こされたと考えられていました。 標本を視覚的に評価する際には、照明条件、オペレータの影響、テスト手順、およびその他の要因によって解釈の相違の余地があることを説明しました。 したがって調査は、不織布材料の性能をランク付けするために別の測定手段(例えば、定量的重量損失法)を用いることができるかどうか、ということに重心を置いていました。 |
|
予備試験の間に、摩耗輪の選択と適用された荷重が結果のばらつきに重要な影響を与えていることが明ら かになりました。顧客は弾力性のある摩耗輪に1000gの荷重を指定していました。摩耗輪は、使用とと もに結合が分解して、試験中にフレッシュな摩耗物質を露出させるように設計されています。摩耗試験 機は、試験中に生成された破片を除去するためにバキュームシステムを併用しますが、不織製品の場合 は、開放構造になっているため、破片が不織繊維の間に閉じ込められてしまいます。これはでは目視検 査にも干渉してしいますし、重量減少測定にも影響してしまうでしょう。 様々な荷重と摩耗輪の中からどの組み合わせが不織材料の摩耗試験に最も適しているかを決定するため に、追加の実験を行いました。その結果、250gの荷重をかけたH-10摩耗輪が、最も現実的で再現性の 高いデータを提供することが判明しました。 |
|
■有益性■ | |
推奨されたテスト手順に変更した後、ロータリー摩耗試験機を使用したラウンドロビン試験で得られた 定量的な減量結果が、以前の視覚的評価よりも大幅に一貫していることを、この顧客は証明してくれま した。これにより、顧客は品質管理プロセスのためにより厳しい変数を設定することができ、最終的に 苦情や返品の件数を減らすことができました。 |
マルチメディア試験機で食料品の摩耗を低減
■状況■ | |
サトウキビの大規模生産者は、混入した粒子状物質の摩擦による構成成分の腐食は製造工程中にどの物 質によって引き起こされているのかを判断したいと考えていました。 |
|
■分析■ | |
浸食摩耗の原因を調べるのに役立つ可能性のある策として、マルチメディア摩耗試験機が選択されました。
マルチメディア摩耗試験機を使用した試験は、3本の真鍮ピンと摩耗ディスクとの間を懸濁液(粒子が入った液体)が通る事によって生じる
真鍮ピンの摩耗に関わっています。混入した微粒子の研磨性によって真鍮ピンは摩耗します。 懸濁液は蒸留水を媒体として各素材ごとに作製されました。 マルチメディア摩耗試験機のシャーレに懸濁液を入れた状態で試験は始まります。 規定のサイクル数の後、試験を停止し、真鍮ピンの重量損失を測定します。 結果の分析、素材によってピンの重量損失に重要な差異がある事が示されました。 この情報は、さまざまな材料の性能をランク付けを容易にし、成分の摩耗にとって最も重要なものを示しました。 |
|
■有益性■ | |
このような情報を手元に置くことで、製造過程における粒子の摩耗を減らすことが求められる領域で、 さまざまなろ過技術を実行することができます。 |
工具による摩耗をシミュレーションする
■状況■ | |
吸収性のある生分解性の填料(フィラー)の製造業者は、競合に対して工具摩耗の少ない填料であること を実証したいと考えていました。使い捨ておむつ、熱可塑性プラスチック、紙の製造業者のサプライ ヤーとして、顧客は他の選択肢と比較するために、彼らの填料の研磨性を科学的に定量化することを望 んでいました。 |
|
■分析■ | |
最初のアプローチは、Taberのマルチメディア試験機を使用することでした。
しかし、一連の試験の後、填料の粒径が大きすぎたため、この試験機では磨耗性を比較することができないと判断されました。
代わりに選ばれたのはロータリー試験機にグリッドフィーダーアタッチメントを装着して、Third-Body摩耗を発生させることでした。
この試験は、細かく硬い粒子が、革に覆われた摩耗輪と基盤材との間を流れていくことによる破壊的な作用を伴います。
粒子の回転動作の結果、基盤材は破壊し、摩耗測定につながります。
生分解性填料は、このアタッチメントを使った試験用に研磨剤として使用するのに許容される粒子サイズでした。 |
|
填料をアタッチメントの投与口に入れ、スタンダードな亜鉛(S-34)および鋼(S-16)の試験プレート に流し込みます。規定のサイクル終了後、試験を停止し、試験プレートの重量損失を測定します。分析 の結果、様々な填料によって鋼板・亜鉛板の両方における重量損失に著しい差が見られました。この情 報を利用し、それぞれの填料の性能(アグレッシブ性)をランク付けすることで、どの材料が切削ブ レードの工具摩耗の低減に最も役立つかを示すことが容易になりました。 |
|
■有益性■ | |
ロータリー摩耗試験機とグリッドフィーダーアタッチメントを使用すると、生分解性の填料の研磨性をラ ンク付けし、ブレード(切断工具)の摩耗に関連するメンテナンス費用を推定することができました。 この情報はまた、製品配合を改良し、研磨性を低下させるための基準としても利用されました。 |
最終製品へのダメージ
■状況■ | |
バスルームとキッチンの蛇口は、様々な形と仕上げが施されます。
製品に仕上げる前、あるいはコーティングを施す前に、ロータリー摩耗試験機を使うことによって
メーカーはフラットパネル形状で材料やコーティングの耐磨耗性を調べることができます。
このテストは、材料の仕上げが会社の品質要件を満たしているかどうかを確認するのに役立ちますが、
実際の消費者が製品を掃除しようとして起こりうるダメージをシミュレートすることはできません。
製品の評価のためには、別のアプローチが必要になります。 |
|
■分析■ | |
ヨーロッパの蛇口メーカーは、日々普通に行われる掃除中に発生する摩耗を評価する方法について、 TABERの認定代理店に連絡しました。この代理店は蛇口のサンプルを固定した状態で、テストプログラ ムで評価するのためにTABERに提出しました。 蛇口には不規則な形状がありますので、リニア摩耗試験機は表面仕上げをテストするのに理想的な器具で す。それに、化学薬品や消耗品による洗浄オプションが数多く用意されているため、リニア摩耗試験機 のオプションテストアタッチメントを選択しすることで日々現実に行われているクリーニングをシミュ レートすることができます。部品を調査した結果、テーバーの摩耗専門家はリニア摩耗試験機が一連の 評価テストに適切で、機能する装置であることを確信しました。 最初の実験は、乾燥状態で洗浄液や化学薬品を使わずにScotchBrite®を使用して行いました。比較的短 期間に表面仕上げに傷が発生したため、ScotchBriteパッドを使用して蛇口を掃除する場合、実際の消費 者はごく簡単にダメージを与えてしまう可能性があると考えられます。競合他社と差別化を図ろうとす るメーカーの要望を踏まえ、このような迅速な調査は、現在のコーティング配合を評価するツールとし てのリニア摩耗試験機が有益であることを証明しています。 その他の掃除方法をシミュレートするために、TABERは2つの他のアタッチメントを推奨しました。 CS-5 Jumbo Felt 研磨材を使用して、洗浄液で耐擦性を評価します。また、45°マルチマルスクラッチ アタッチメントは、ジュエリーや他のアイテムなどの接触により発生するひっかき傷をシミュレート します。 |
|
■有益性■ | |
バスルームやキッチン蛇口の洗浄に関する標準化されたアプローチ方法はありませんでしたが、この メーカーはリニア摩耗試験機が、独自の内部テスト要件に組み込むことができる機械的アプローチを提供 することができると認識しました。頑固な水垢を除去するためにScotchBriteパッドのような製品を使用 したり、過酷な家庭用化学薬品を使用したりしたとしても、リニア摩耗試験機はコーティング配合を評 価する科学的アプローチを提供します。 |
組み合わせ選択へのアプローチ
■状況■ | |
平らな屋根用防水シートは、水漏れを防ぐために広く使用されています。
しかし屋根は、各種導管やいろいろな形状の装置などを設置しておく場所としても使用されています。
防水シートは極端な気象条件(雪、梅雨、極端な暑さ、寒さなど)にさらされているため、
屋根で使用される素材は伸び縮みしてしまいます。
この動きにより、望ましくない摩擦が生じ、早期の故障または他の問題が生じる可能性があります。
導管製造業者や装置保守業者はこの問題を認識し、導管や装置の防水シートに対する耐摩耗性を
いろいろな組み合わせで分析しようと試みました。
彼らは、現場で発見されるような摩耗に対する効果的な解決策に要する費用と期間を調査するために
TABERにアプローチしました。 |
|
■分析■ | |
時間的な観点から、現場試験は実用的な解決策ではありませんでした。防水シートの膨張と収縮を引き 起こすために極端な温度を導入することは不便であり、コスト面でも効果的とは言えませんでした。慎 重に検討した後、顧客はリニア摩耗試験機を解決案として考えました。 耐摩耗性を定量化するために、2種類のシートと4つの固有の支柱用材料で擦りました。選択された試験 荷重は、支柱の荷重保持能力に基づいて算出され、テスト期間は30年分の拡張と縮小という最悪のシナ リオに基づいて見積もられました。耐摩耗性は、防水シートの質量損失と、支柱用材料の目に見える変 化とによって測定しました。 |
|
■有益性■ | |
リニア摩耗試験機を使用すれば、4つの支柱材の寿命中に発生する摩耗作用をシミュレートすることがで きました。種々の支柱材を基準にすることにより、製造業者は耐摩耗性を定量化することができまし た。この情報により、用途に応じて適切な防水シート/支柱材の組み合わせを推奨することができます。 さらに、保証期間の設定や、顧客が新製品を開発する際の比較、系統だった説明にも使用できます。 |
フレキシブルマテリアル摩耗試験キットの活用
■状況■ | |
滅菌された医療用具または製品を包装する場合、使用するまでその用具の無菌状態を確保するためにフィルムの完全性が不可欠です。
フィルム会社は、要求される耐久性を備えた複雑なフィルムデザインを最適化するためにかなりの時間と費用を費やしていますが、
一方で競争勢力は顧客により薄いゲージフィルムの使用を促し続けています。
この傾向により、摩耗によって引き起こされた事故の危険性が劇的に増加しています。
フレキシブルマテリアル摩耗試験キットにより、技術者はパッケージフィルムの耐摩耗性に影響する変数を分析して、事故をより理解し予測することができます。 |
|
■分析■ | |
製品の出荷や配送、保管といったごく通常の事象に対して
選択したパッケージが耐えられることを保証 することは製造者の責任です。出荷作業や配送中には、医療機器や包装フィルム、二次包装が動いてし まうことがあります。衝撃や振動あるいは再三の擦れは、フィルムのを横断して装置を摩耗することを 可能にし、無菌バリアが損なわれる可能性を高めてしまいます。 完全な包装が維持されることを保証す るための標準化された試験は確立されていますが、包装フィルムに関しては、その時点で耐摩耗性を比 較するための広く受け入れられた試験方法がありませんでした。 したがって、摩耗による事故は一般的 に、流通の検査または顧客の苦情の後に捕捉されていました。 2007年、Perfecseal Corporation社は、耐磨耗性に最適なフィルムを提供するための選択に関する支援 を求める顧客から連絡を受けました。顧客は袋に穴を開けるような摩擦の問題を経験していて、これら の苦情を排除する為、フィルムを取り替えることを課せられていました。フィルム加工業者はTABERに 6種類のフィルムの耐摩耗性を評価するための研究開発を委託し、フレキシブルマテリアル摩耗試験キッ トを装着したリニア摩耗試験機が使われました。 |
|
■有益性■ | |
試験の結果、それぞれのフィルムのサンプルが期待された性能通りの摩耗耐性に関するランキングが提示 されました。これにより、加工業者の推奨をサポートする最適なフィルムに関する量的データが提供さ れ、テスト手法が実行可能な手段であることが確認されました。 フレキシブルマテリアル摩耗試験キットによって生成された耐摩耗性データを組み込むことで、意思決 定者は材料選択プロセスを合理化することができました。また、選んだフィルムがISTAの輸送テストの 要件を満たすという確信も得られました。 |
横断的な設計チームでカスタム対応
■状況■ | |
技術的に進歩していると一般的にはみなされない製品を製造する企業にとって、品質保証請求の可能性は 依然として存在します。標準的な封筒の窓に使用される透明プラスチックフィルムのサプライヤーは、 顧客の製造プロセス中に生じたフィルムの損傷に起因する苦情に直面していました。ロール形態で供給 されたフィルムは、封筒に取り付ける装置を通る際に擦り傷がついて、透明度に影響を与えるような損傷 となる事が度々ありました。残念なことに、サプライヤーの工場では、この特性を評価するための品質 チェックは行われていませんでした。そして、顧客が材料を生産に投入して問題を発見するまでに3ヶ月 かかる事も珍しくありませんでした。これは製造の時点で解決されなければならなかった問題に対応す るまでの時間が明らかに長すぎたことを表しています。 |
|
■分析■ | |
サプライヤーは当初TABERに、薄いプラスチックフィルムの様々な配合を評価するスクラッチ試験機に 関する情報を求めました。TABERテストプログラムの機会を利用して、サプライヤーは被害を再現する ためにフィルム標本を送りました。リニア摩耗試験機がテスターとして選ばれましたが、どのテストア タッチメントが最もうまくいくかは不明でした。7つの異なるアタッチメントが試されましたが、ユニ バーサルアタッチメントという1つだけがダメージを再現するように見えました。この25mmのステン レススチールの平らなヘッド部は、処理装置で作られたフィルムとの接触をシミュレートするために、 標本の上を前後に擦りつけられました。 |
|
予備試験のデータを再調査した後、サプライヤーはTABERを訪問し、試験に立ち会いました。 彼らはリニア摩耗試験機が提供する潜在能力を気に入りましたが、結果に完全に満足しているわけではありませんでした。 彼らが記述したように、フィルムに塗布されたコーティング材料は、処理装置上でこすり落ちてたまる傾向がありました。 ユニバーサルアタッチメントを同じ場所で往復させても、現場で見られるプロセスと損傷を忠実に再現しているとは言えませんでした。 理想的な解決策は、試験中に標本をを配置し直して、常に新しいフィルムを研磨ヘッドにさらしておくことです。 サプライヤー訪問後、標本を横切って移動しながらサンプルを引っ張ることができるリニア摩耗試験機用の標本ホルダが 製作可能であるかどうかを分析するために、横断型の設計チームを組み、2週間以内に試作品を製作してテストしました。 サプライヤーのフィルムの一部が、制御されたゆっくりな速度で回転するドラムに取り付けることができるようになり、 テストアタッチメントはフィルムサンプルを"Z"パターンで擦り、新しいフィルムをさらす、というサプライヤーの要件を満たすことができました。 |
|
■有益性■ |
|
TABERの装置に関連する標準的なテスト手順はたくさんありますが、既製のソリューションがすべての 用途で常に機能するとは限りません。このケースでは、独自の要件によって新製品の開発につながりま した。今日、フィルムのサプライヤーはリニア摩耗試験機と新しい回転ドラムサンプルホルダーを使用 して、耐傷性/耐引掻性を評価しています。このカスタマイズされたテストソリューションにより、プロ セスの調整が必要な場合にはサプライヤーが迅速に対応することが可能になり、最終的に品質保証請求 を減らすことができました。 |
新しい家具に有効な摩耗試験
■状況■ | |
2013年以来、Tenjam社は人の行き来の多い場所用に商業用家具を製造しています。
製造者によると、彼らの家具は安全で耐久性があり洗濯可能でしかも楽しいです。
DuraFLEXというソフトシート製品の外装は、サーモプラスチック(熱可塑性樹脂)で成形されています。
しかし、従来の家具とは異なり、Tenjam製品は縫製された室内装飾品ではありませんので、摩耗や破損の可能性がある縫糸は含まれていません。
したがって、業界標準であるWyzenbeek法のダブル摩擦試験は適用外でした。 |
|
■分析■ | |
Tenjam社は、有意義な結果を提供する、柔らかなコーティング素材に適用可能な代替試験を探し、ロー タリー摩耗試験機を、質量損失と摩滅の深さ測定の両方に使用しました。 |
|
■有益性■ | |
Tenjam社は、TABERテストを品質管理システムに組み込むことで、DuraFLEX材料の性能を監視し、求 められる水準にある事を保証できるようになりました。Tenjam社の研究者はまた、材料の進歩を継続す るためにTABERのデータを活用しています。例として、Tenjamの材料科学研究所では、競合他社に対 抗するために1000回のサイクル試験を実施して、コート材の性能標準としました。H-22摩耗輪と 1000gの荷重によるテストを行い、Tenjam社はDuraFLEXの素材は競合他社製品よりも5倍優れている と判断しました。 |
|